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ワタミを叩き溜飲を下げる底辺層、そしていつまでも笑い続ける経営者。

次の経営者のうちどちらの経営者がすばらしいでしょうか?

経営者A

名門私立大学を卒業。

安定した会社勤務の道を投げ打って、肉体労働で自らの身体に鞭打って貯めた三百万をもとでに20代で起業。

3年以内の廃業率が70% 10年後の生存確率が1割という厳しい業界でわずか16年、たった一代で東証一部上場企業をつくりあげ、業界トップに駆け上がる。

同業界に収まらず、日本の高齢化社会を見越して、介護事業や高齢者向け宅配サービスなど今後日本の高齢化社会になくてはならない新規事業を次々と創出。

日本に必要不可欠な農業事業にも力をいれ、有機農業事業者では日本最大のグループとして日本で生産されている有機野菜の約6%をつくりだす。

さらに特定非営利活動法人を設立し、一人でも多くの子どもたちに人間性向上のための教育機会と教育環境を提供する」ことを目的に、発展途上国において、学校施設の建設、学校教育環境の改善、教材支援や就学困難の児童への支援を行う。

そして、多くの批判を浴びながらも、政治の道を志すために自ら会社の地位を投げ打って国政の道へ進路をとる。



経営者B

小学校中退。

妻と妻の弟に無茶をいって風呂にも入ることのできないような劣悪な環境化で働かせ、資金の金が尽きると妻の指輪や服を売り払い事業資金に。

ようやく会社が軌道にのったかと思えば、不況で過剰在庫を抱え、何を思ったかなんと全社員に在庫を休日返上で売りさばかせるという鬼畜の所業で難を脱出。

下請け企業を徹底的にしぼって利益をだし、他メーカーをパクっては平然と自社製品として平然と売り出す厚顔無恥をさらけ出し会社を成長させる。

再び訪れた経営不振に、経営の第一線から離れたにも関わらず、販売店や代理店を一同に呼びつけてなんと終了日未定、議題未定という労働基準法も真っ青の会議を開催。

代理店や販売店からの不満にまさかの泣き出すというメンヘラっぷりを発揮し、その場をしのぐ。

さらには創業期から連れ添った妻を尻目に、愛人を何人もつくって隠し子もつくりたい放題と、経営者の前に人としての倫理観のかけらも無し。

こうした生き様から得た思想を多くの人を植え付け、徹底的に染め上げるべく、出版社や政治団体を設立。なお影響力を及ぼし続ける。



片方は、目下、ブラック企業経営者として有名な渡邉美樹氏で、もう片方は経営の神様と揶揄される松下幸之助氏です。


もちろん間違えるはずもないですねー。



最近のネット界隈でブラック企業経営者の代表格として、渡邉美樹氏が叩かれているのを見るたびに胸が苦しくなる。


飲食業界というのは、実に難しい業界だと思う。

参入障壁が低いために、誰でも参入ができる上に、その上流行り廃りも激しく、人材も不安定で流動性が高い。

こんな業界で、たった一代でここまでの企業をつくりあげた経営手腕はすごいと思う。ただ者じゃない。

その経営の過程で、社員の労働環境が劣悪になりすぎて、行き過ぎてしまうのもあってもおかしくない。

だが、考えてほしい。自分が飲食業界で働いているとして、仮にも東証一部上場企業で、情報開示が求められ、厳しい監査や法律の遵守が求められ、さらには株主からの経営責任を追求されるような会社で働くのと、ブラックボックスだらけの未上場のオーナー企業で働くのとどちらがマシだろうか?


飲食店の大多数は未上場のオーナー企業だ。

経営者が会社の儲かった金でフェラーリを買おうが、高級マンションを買おうがそれを止めるものはなにもない。税金だって正しく払ってるのか怪しい。役員報酬だって、もらいたい放題。上場企業と違って公開される心配もない。社会貢献?はぁ?って感じだ。

こんな環境下の労働環境だって察して然るべきだろう。これらの会社で働く社員がワタミより優遇されて恵まれているなんて話がないことなんてちょっとそこらの飲食店に行けば誰でもわかることだ。

もちろんキャリアパスだってあるわけない。社内規定もぼろぼろ。昇給基準だって、究極オーナーの気分次第。

オーナー経営者の機嫌を損ねたらおしまいだ。オーナーの一存で自分の人生は決まりだ。年を取って使い物にならなくなったらポイーだ。


一方ワタミは上場企業だ。

仮にそうやって自分の不当な労働力を搾取して会社が利益をあげている、というのなら

自分で会社の株を買えばいいじゃないか。自社株を買うのは、別に禁止されていない。自社社員なら当然優遇して買える。

労働者として搾取された結果それが株主の利益になるんだとしたら、自分で株主になれば配当という形でその利益を享受できるじゃないか。

かたや未上場企業のオーナー企業ではそれすらも許されない。農奴のように働き労働力を搾取されて会社の利益が増えたところで、それは全部経営者のフェラーリやボンボン息子の高額役員報酬に変わるだけだ。

どちらがいい会社が一目瞭然じゃないか。


それなのに叩かれるのは、決まってワタミ。

多くの飲食業の未上場企業の経営者はきっと目を細めてこの光景を眺めているに違いない。これで少しでもワタミに行く客が減って自分の店に客がくればまた一歩フェラーリが近づく。そして間違って渡邉美樹氏が当選でもして政治の立場からかつて自分たちを苦しめたライバルたちのこうした飲食業界の闇を是正しようとしたらたまったもんじゃない。全力で渡邉美樹氏の当選を阻止しようと思うだろう。


そしてまた、この騒動に乗じてそインターネットでワタミを叩いてるのが最も同社のサービスを享受してるはずの最下層の人種というのがまた悲壮感をそそる。

ワタミをブラック企業として渡邉美樹氏を批判するなら、それに金を出して利益をあたえてるのは誰なんだ?

既得権益に守られて甘い密をすすり不当な利益をあげる富裕層か? 不当に労働者の利益を搾取してる資本家か? 国民の血税を吸い上げ自らの利益にする政治家か?

まさにブラック企業だと叩いている自分たちじゃないか。

ちょっと考えればわかるだろう。

世界のどこを探しても3ドルかそこらの価格でキンキンに冷えたビールや何十種類もある料理が昼も深夜も24時間いつでもどこの店にいってもすぐにでてくる体制がある店なんてないよ。

たかだが数ドルの注文でも間違えようなら店員がすっ飛んできてまるで高級ホテルかと見紛うばかりにペコペコ頭を下げて申し訳ありませんでしたの合唱。

もちろん店員はどんなに頑張ったところでチップなんてもらえない。

こんな低価格で高品質のサービスを提供できる店なんてどこにもない。世界のどこにも。日本以外に。

こういう非釣り合いなサービスを安価で買いたたいて利益をあたえているのはまさに同じ最下層の人間じゃないか。

経営者の不当な労働力の搾取に立ち上がった労働者の怒りの矛先が、自分たちが最も恩恵を受けているはずのサービスだなんて、

もはや滑稽さを通り越してあまりにも哀れすぎて、泣いてしまいそうだ。


「ついに日本の劣悪な労働環境に堪え兼ねて、日本の労働者層が立ち上がったぞ!」
「Oh! ついにか!! 革命だ!! それでいったいどんな企業や経営者が叩かれてるんだ?」
「それが、どうも労働者階級が最も好んでよく行くバーを運営するWATAMIという会社らしい。」
「Whats!?なんで自分たちが最も恩恵をうけている会社を!?なにがしたいんだ!? クレイジー!!」


こんなみじめな国が、他にあるんだろうか。


でも、しょうがないよね。みんなわかんないんだもんね。

ユニクロとか、マクドナルドとか、そういうちょっと自分が知ってるような会社しかわかんないもんね。

それしか、知らないんだもんだもんね。

同じ底辺層同士で盛り上がれる話題ってそれくらいだもんね。

まとめサイトの誰かの意見を鵜呑みにしてちょっと知った気になって、感情的になって自分の頭で何も考えずに罵声をあびせるのがせいぜいできることだもんね。

仕方ないよね。そうやって生きていくしか無いよね。


こういうのを見ると、この国で目立つのは本当に損。ホリエモンのときから何にも成長してない。

少なくとも経営者が消費者向けに目立つ事のメリットは「ゼロ」だわ。

目立たないようにして黙って搾取し続けて、最下層の人たちがこうやってちょっと目立った会社を叩き潰して溜飲を下げてるのを目を細めて眺めてほくそえんでいるのが、

経営者として最も合理的な判断になるよね。

仕方ない。



そして今日もまた最下層の人間たちはインターネットでワタミをたたき続けるのでした。

いつまでも、いつまでも・・・いつまでも変わる事無く。

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※追記

この記事への補足説明をかきました。

やっぱり僕には、「ワタミを叩き溜飲を下げる底辺層、そしていつまでも笑い続ける経営者の構図」しか見えてきません。 http://d.hatena.ne.jp/tokunoriben/20130708/1373307007