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GoogleやAppleのような会社をつくるより新しい国をつくるということの方がずっとずっと難しいんじゃないかとイスラム国を見て思った。

最近イスラム国(ISIS)のニュースにとても関心を持っている。

外国人ジャーナリストの残虐な殺害動画や、日本人の誘拐事件。。

ああ、どこかまた遠い中東のイスラム過激派がわけのわからないことをしているなぁ、と思っていたら、

なんと建国宣言をして国を建国してしまったという。

といっても諸外国は認めていないので自称なのだけれども。

分離して独立したとか、自治権が認められたとかではまぁあるにせよ、

このご時世に勝手に既存の国を侵略して実行支配下において国を建国するということがありえるのか!? 

と思って、関心を持って調べてみると単なるこのイスラム国というのは、散発的なテロ組織ではなくて、想像している以上に確固たる基盤と統制力を持った組織だということを知っていろいろと度肝を抜かれた。


野蛮で、話も通じず、ただ自分たちが望むがままに無慈悲な殺戮を繰り返すそんな文明社会から遠く切り離された時代遅れの賊のような集団とばかり思っていたのに、

僕はこんな過激派集団がきちんと自分たちが管轄したテロや有価証券報告書のような活動レポートをこんなにきっちりつくって報告しているとは思いもしなかった。どこの上場企業だよ。

ISISは戦闘資金を調達するために年次活動報告書を発表している
http://www.huffingtonpost.jp/2014/07/01/isis-annual-report-reveals-7-disturbing-statistics_n_5546916.html

そして、どうせ街を侵略して支配したといっても、指導者の独裁的な恐怖政治が蔓延り、私欲だけを追求し人権が無視された前近代的な政治が行われていると思っていたら、

なんと支配下に置いた都市では、なんと電気や水の供給のほか、銀行や学校、裁判所、礼拝所、パン屋といった公共サービスといった普通に法に基づく行政で街が運営されているという。

イスラム国、シリア北東部で「国家モデル」構築 急速に勢力を拡大した要因とは http://www.huffingtonpost.jp/2014/09/05/islamic-state-syria_n_5770040.html

このイスラム国の内部の情報を撮影したVICE NEWSという市民生活を撮影した動画を見ていると、どう見ても普通の街にしか見えない。

The Spread of the Caliphate: The Islamic State (Part 1) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=bsCZzpmbEcs&list=PLw613M86o5o7ELT6LKyJFKawB6gUsZSf7&index=1

イスラム国の人とか普通の人の良いおっさんたちであるし、街では人々がごくごく一般的な生活を送り、本来であれば無惨にも惨殺されそうなキリスト教徒も定められた人頭税を払う事でごく普通に市民生活を送っている。



それでも、この過激派集団は、残虐で、非人道的で、アメリカ曰く、癌であると言う。

確かに、このイスラム国というのは、外国人のクビをはねたり、非人道的な殺戮や暴行など著しい非人道的な行為をしているという。

でも、僕は少しわからなくなってしまった。

日本ですら歴史を振り返ってみると、つい150年かそこらの前には刀で、外国人は皆殺しって言って人のクビを切ったりきられたり、していたわけだし、

そして欧米諸外国ですら、その歴史をひも解いてみると、数百年前、いや数十年前ですらそれこそ凄惨と表現するしかない非人道的行為はあった。

世界史を見れば、多くの血の上に現在の民主主義的で人道的な社会が築かれていることがわかる。

人類の歴史はそういう過程の積み重ねによってできあがっていて、僕たち先進国はたまたまその試行錯誤によって築かれたほんのここ数十年のごくごく一部の価値観の中でいきているだけなのである。現在の非人道的行為というのがごくごく当たり前だったときの方が人類の歴史は長いのだ。

だとしたら、今、多少周回遅れでその局面にさしかかっている国々を見て、かつて自分たちが経験したのと同じようなプロセスを経ている過程で、お前達はおかしい!と言ってしまうことが、100%正しいと言い切れるのだろうか。僕はやっぱりわからなくなってしまった。

そしてそもそも、こういった残虐的な行為というのはたいていの場合歴史の間隙をぬって実態が闇へと葬られてしまうところであるのだけれど、

このイスラム国がまたすごいのがそういう残虐な動画をきちんと編集してyoutubeに公開したり、twitterで律儀で更新しているということである。

これには心底衝撃を受けた。

自分たちが、お気に入りのアーティストの音楽を聞いて楽しんだり、あるいはせいぜいバカが冷蔵庫に入る様をもって国民みんなが大盛り上がりしているyoutubeやtwitterにしれっと、人がまるで屠殺場の豚かのように淡々と殺されて行く様を撮影した動画や画像がアップロードされているのである。

そしてそれがyoutubeやtwitterで検索をかければごくごくまるでニュースサイトを見るかのような手軽さで、アクセスできてしまう。

そして、映画でも何でもない、人と人とがまさに今、本当に砲弾が飛び交い実弾で殺し合っている戦闘行為の様子も、GoPROで撮られた高画質動画で見れてしまう。
かつて、湾岸戦争の際には、飛び交うミサイルや縦断の様をテレビが撮影しそれを遠く離れたリビングルームでまるでゲームのようにテレビを眺めながら観戦する様を称してニンテンドー・ウォーと言ったのだけれど、時を経て戦争の当事者たちが動画を撮影しアップロードするようなこの時代の戦いはなんと評すれば、いいのだろう??

そして、さらに凄まじいのが、イスラム国がこうしたソーシャルネットワークを積極的に活用して情報発信やリクルーティングしていることである。

twitterでリプライを飛ばしてなれ合っていたり、イスラム国の兵士だけど質問ある? といわんばかりにaskmeで回答していたり、facebookやtwitterで生々しく生活をアップロードしていたり、挙げ句の果てにはスマートフォンアプリとかも出してたりする。

今日び、人権を無視した非人道的行為が日常的に行われているような世界が、自分たちとごくごく同じようにソーシャルネットワークやスマートフォンを使っていて、ああこれも同じ今の世界なんだなという事実を目の当たりにつくづく衝撃を受けた。

「イスラム国」ネットを駆使して若者を惹きつける その方法とは
http://www.huffingtonpost.jp/2014/09/11/islamic-state-uses-online-strategies_n_5808006.html


この効果はテキメンで、欧米では男女問わず多くの普通の若者が引き込まれて現地にわたっているらしい。

彼ら、彼女らは、頭のおかしい間違った人たちなのだろうか。

やっぱりおかしいんだと思う。

ただ正直言ってしまうと、僕は、その気持ちがわからなくもないのだ。

僕自身、日本の社会通念ではごくごくマイノリティの選択肢である起業という選択肢をとっていて、下手すりゃ借金まみれで文明的生活終了という人生をいきている。

その選択を根底にあるのは、今の社会、自分にある閉塞感をぶっつぶし、何か今のままではない新しい世界のために、リスク覚悟で身を投じてやろうという、いわば反骨的な精神である。

今の日本の世の中は普通にいきていればごくごく幸せにいきて行ける。

ニコニコ動画やyoutubeは楽しい。マンガも楽しい。ゲームも楽しい。アニメ楽しい。ほんの数百円もあればおいしいものをお腹いっぱい食べられる。

そうやって、適当にいきて、適当にセクロスして、無為に時間を浪費をしていくのが幸せな人生なのかもしれない。

でも、そうやって人生の隙間を埋めていくのが自分がこの世に生を受けた理由なのだろうか。とふとした疑問がわくことがある。

何かいきているからには意味があるはずだ。自分が成し遂げなければならない何かがあるはずなのではないかと。

平和な日本で生まれた僕はたまたまその意義をいまの会社をつくって新しいサービスをつくる、ということに見出したけれど、


それが、「自分たちの新しい国をつくる」という、歴史に名を残すような、所業に身を賭すのは、その理由がなんであれ、決して馬鹿にはできない。と思ってしまった。


会社をつくろうとして失敗しても自分でそうしない限りは死ぬやつはいない。

でも、国をつくるのならば、それが成功しようと失敗しようとどうであれ必ず血が流れる。


このご時世に、GoogleやAppleのような会社をつくるより、新しい国をつくるということが、ずっとずっと難しいのではないか。

そして前途多難とはいえ、現実的なレベルまで、その駒を進めているイスラム国に僕はいけないと思いつつも感嘆してしまった。

イスラム国はどうなるんだろう。目が離せない。