あなたのビジネスモデルは「劇場型」になっているか?

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前回のブログ記事では、ビジネスモデルを学ぶ重要性について書いて、そういうビジネスモデルを学ぶ機会として最近僕が熱心に参加している勉強会の紹介リンクを張ったのだけれど、ブログ経由で申し込みが殺到したらしい。


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自分の書いた文章が購買行動に結びつくというのはなんだかちょっと嬉しいものがありますね。

この勉強会って何なの??というのは、この記事を読めばわかると思います。



無料の勉強会にはやっぱり残念な貧乏人しか来ない。 - 拝神


それで、前回のブログ記事ではGunosyという革新的なサービスに関して、当初の自分が思っていたビジネスモデルと、実際にGunosyが歩んだビジネスモデルの変遷から、自分が思い描いていた見通しの甘さを書いてみたりしたのだけれど、

あ、過去に書いた記事についてはこのあたりです。


Gunosyが苦悩しー - 拝神


Gunosyが挑む4つの前轍 - 拝神


実際Gunosyは超大型資金調達を決めて、CMをガンガン出して、ユーザーがも激増していて、毎月数億単位で売上げがあっているという素晴らしい実績なわけで。

アプリ時代のスマートフォンのネイティブ広告のアドネットワークの可能性に気がつかなかった自分のビジネスセンスの無さにはあきれるなぁと思う訳です。



そして、最近、思うことは得てして成功するビジネスモデルというのは、「劇場型」になっているということが多いと思うようになりました。

「劇場型」というのは、かの有名なオレオレ詐欺から来た言葉です。


いわゆるオレオレ詐欺というような特殊詐欺は皆さんはご存知だと思います。

オレオレ詐欺と言えば、今やもう行政や民間も総力をあげてATMにはデカデカとオレオレ詐欺に注意と書いてあるわ、テレビや新聞であちこちで啓蒙活動はしてるわ、さすがにこれだけ口をすっぱくして言ってれば被害も減る、というかこれだけ言っても騙されるヤツなんてもう頭がどうかしてるんじゃないか、と思いきや、

今年の1月〜7月の被害総額は約300億円で過去最悪の去年の数値を20%以上上回っているそうで、記録更新はほぼ確実だそうです。

実に1日1億円以上が、オレオレ詐欺で闇社会へ吸い取られていることになるわけですね。

僕としては、これだけ国をあげても騙されるような無能が無駄に金を持て余してるくらいなら、

ほんのわずかな可能性でも、将来のGoogleになるかもしれない会社や若者に捨てたと思って投資でもしてくれた方がまだ日本の社会のためになると思うのですが、

残念かな。未来のGoogleをつくる可能性をもった若者たちは、今日もわずかな賃金のために馬車馬のごとき働き、毎日1億円もの金は反社会勢力へと流れ、何のイノベーションも生まれる事無く夜の街へと消えて行くのでした。

オレオレ詐欺については、この本に創始者が記した背景や手口が詳細にあるので、読んでみると面白いかもしれません。


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さてさて、それにしてもなぜこの使い古されたオレオレ詐欺が未だにこのように猛威をふるっているかと言うと、

早晩、いわゆるオレオレ詐欺という特殊詐欺の形態が「劇場型」を取っているからです。

「劇場型」、つまり、被害者と加害者という関係に、直接的に関係のなさそうな、第三者がそれとなく登場することによって、加速度的に詐欺の成功率を高める形態を指します。


「オレだよ、オレ、お金振り込んでよ。」「実はここだけの未公開株があるんですが」、という話だけでは、さすがに人はそう簡単に騙されるものではありません。しかし、そこに、第三者、例えば、弁護士や銀行員のフリをした第三者や、未公開株の売り手だけでなく、未公開株を買ってくれる第三者の買い手が登場することで、あれよあれよと人は騙されてしまうというわけです。



そう。一見自分とは利害関係が切り離されたように見える第三者の存在。

ビジネスにおいては、実はこの存在が決定打となるビジネスモデルであることが多いです。



例えばわかりやすく、銀行というビジネスモデルはどうでしょう?

銀行と言えば、社会で様々な役割を果たし、事業をしているので一重にこれと言い切れないのですが、

このブログを読んでいるようなはてなの貧乏人の皆様には最も近い銀行の役割の接点としてはATMでの預金や引き出しが最も身近な存在でしょう。このATMだけを見てみると、


「無料で個人を特定するカードを発行し、町中のあちこちに一台何百万の機械を設置し、数千円とか数万とかのお金を貯金箱代わりにどこでも出したり入れたりと使えるようにしてし、その際に時間帯によっては100円か200円程度の手数料を徴収してマネタイズする。」

ということになります。

もし銀行のこの役割のビジネスモデルだけでつくった事業計画を、仮にまだ銀行がない世界に持ってきたとしたら、「貯金箱と比較した際の優位性はどこにあるの?」「町中にATMを置くコストを1回数百円の手数料でまかなうために採算分岐点はどれくらい?あとセキュリティはどうするの? 盗まれたときの費用は誰が負担するの? で、1回数百円で採算とれるまで何年かかるつもりなの?笑」

などと、有識者にドヤァされて、うんw絶対無理だよw お前ももと成長しろよw などと 門前払いされてしまうわけです。

でも、ご存知の通り銀行はここで儲けているわけではないのですね。
(ちなみにこのビジネスモデルだけで圧倒的に儲けているセブン銀行というのがあるというのもまたビジネスの面白さだったりしますw)


大まかに言うと、こうして世の中の貧乏人たちから集めた小銭を、束ねてまとまったお金を必要としている法人向けに貸してその利息でたっぷりと儲けているわけです。

貧乏人のなけなしのお金は、銀行さんがボランティアで預かってくれてるわけでもなくそれを商品にして自分たちはもっと儲けているわけです。

つまるところ、貧乏人にとっては自分はあれこれ無料でお金を預かってもらって得していると思っている事でも、銀行さんからするとそれを商品にして売っているわけで、そして会社さんも、銀行さんから借りる事で、1人の貧乏人からは到底借りる事のできないたくさんのお金をまとまって借りるようになるわけですね。

そうすると街にATMを設置して手数料云々だなんてところで採算が取れなくたってまったく構わないわけですね。

貧乏人は便利だ便利だと言って、はてこの金はいったい何に使われとるんやろか?まぁ、預けてれば少しなりともお金増えるし、便利だしええわと何も考えずにお金を預けてくれればいいのです。


こんな感じで、自分と直接の利害関係が切り離された第三者を登場させる劇場型の構図つくることによって、自分が利用しているのか利用されてるのかの損得の感情をマヒさせることで圧倒的な利益を稼ぐ訳ですね。

似たような構図は、テレビのマスメディアでもありますね。

例えば、テレビ局のお客さんは誰でしょうか??

「テレビはもうオワコン。カーッ テレビほんと見なくなったわー、ほんとはてなで情報収集を怠らないから、ほんと情弱が見てるようなテレビとか見ないわー ほんとテレビ局はわかってないわー。俺テレビみなくなっちゃったんだもんなー。」

などという視聴者がお客様でしょうか。

違いますね。CMに莫大な金を突っ込むスポンサーですね。

視聴者であり製作費用も払う事のない、あなたはしょせん視聴率1%の中の数百万人の中のごくごく一部のバクテリアでしかありません。あなたがテレビを気に入るか気に入らないかということはテレビというビジネスモデルにおいて塵ほどの意味もありませんが、

電波という設備投資が極小で圧倒的なインフラに魅力的なコンテンツを載せて流し続けることで、自分たち発信側が用意する必要もなくわざわざ受信側で数万円もする受信端末のテレビを買ってきて、気が向けば律儀に時間を割いて動画を見てくれる。

そんなバクテリアを超大量に集めて情報を伝達できる仕組みをもっていることには多大な価値が生じるわけです。

それがテレビというビジネスモデルの価値ですね。


このようにある意味互いに利用されていると言えば利用されていると言うけれど、どちらも利用しつつされつつで、第三者がどれくらい利益が生まれるかはよくわからないけれど、差し迫って自分損するのでなければ大歓迎だよ。という人は世の中に結構いて、

そういう人の見方を意識して、第三者を登場させて劇場型のビジネスモデルを設計してあげるとビジネスはうまくいくことは結構あるのです。

一見表立っては見えてない別部分で第三者を登場させ、お金を稼ぐ仕組みというモデルをつくっておく、というのは、ビジネスモデルを考える上で大切というわけですね。


あなたのビジネスモデルは劇場型になっているか?


ビジネスを考える上でとても、大事な視点だと思います。

ただそういうビジネスモデルは、ある種スポーツで言う「型」みたいなものなので、一通り取得してしまえば、ぐっと幅が広がります。

ATMだけで銀行のビジネスモデルを組み立てて披露してドヤ顔されたり、声の大きなバクテリアに振り回されてビジネスの本質を見失ったりする前に、一度「型」を勉強しておきましょう。


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