僕は「いつか夢はかなう」という言葉が大嫌いだ。
僕は「いつか夢はかなう」という言葉が大嫌いだ。
だってよく考えてほしい。こんなに無責任な言葉があるだろうか。
あなたはいつか夢がかなう、という。
夢はいつか叶うなんて、いわれて傷つく人なんてまずいない。多くの人はその言葉を聞いてすっと気が晴れる気がする。
夢がかなわかったとしても、夢がかなわなかったじゃないか、だなんてあなたが責められることはない。
そして万が一夢がかなった日にはあなたは私にとってかけがえの無い人生の恩師となる。
あの時あなたがいなかったら僕は諦めてました、だの、勇気をあなたにもらった、だの。私は一生あなたに頭があがらなくなる。
そう、つまるところこの言葉は発言者になんらリスクを与えることなく圧倒的なリターンを約束する、いわば悪魔のささやきのような言葉である。
だから、僕はいつか夢は叶う、なんていけしゃあしゃあと抜かすヤツはまず信用しない。
もちろん、自分が誰かに言う分には非常に費用対効果が高いキーワードなのでガンガン使うけれど。
とはいっても、実際に夢を叶えてしまった人間のいつか夢はかなう、という言葉はずしりとした重みをもつものだ。
今日のこの本は、そんな悪魔のささやきの言葉を手帳術に応用してしまい、日々手帳を見るなかで洗脳をかけてしまうというまさに黒魔術の魔術書のような本である。
一冊の手帳で夢は必ずかなう - なりたい自分になるシンプルな方法
- 作者: 熊谷正寿
- 出版社/メーカー: かんき出版
- 発売日: 2004/03/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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熊谷さんについては以前僕のブログの記事で紹介した。彼の原点は「夢」である。
それ故この本はまさに名実ともに彼の生き方の原点を描いたものといっても過言ではないだろう。
ここで大事なポイントが「手帳」という点である。
最近はスマートフォン(笑)やEvernote(笑)やDropbox(笑)などのクラウド(笑)が跋扈している世の中である。これらの環境をはてなブックマーク(笑)などで収集したライフハック(笑)を駆使して手帳やメモ帳をもたない人も多くなったと聞く。実際私も以前はそのような環境にかなり依存をしていた。
しかし、社会にでて気がつくのはそれらライフハック(笑)が本質的な部分では何ら力にならない、ということである。
そもそもそれなりのきちんとした会社なら重要な会社情報を含んだデータをを個人のクラウド上に自由に行き来させるなんてことは認めない。
だからああいうのはそれほど大した仕事をしていない人たちがいかにも俺って仕事できるんだぜオーラを出すために使うようなアイテムである。
結局本当にできる人が使うのは昔ながらのアナログな手段である。
本著では「スケジュールのないものは仕事ではない」と述べられているように、スケジュールという概念を非常に強く強調している。
事実、仕事をする上で、スケジュールをまったくみない、なんて言う人はいないだろう。
それ故、スケジュールを把握するために持ち運ぶ「手帳」こそがビジネスマン最高のデバイス、だと主張しているのである。
その手帳には仕事のスケジュールだけでなく、気になった新聞記事のスクラップ、気になった言葉、果ては自分の将来の夢などありとあらゆる情報を集約させていく。
そして、日々業務の中で手帳をめくるたびにそれら言葉の根源に触れ将来へと続く英気を養っていく、まさに実に合理的なアイディアといえる。
スマートフォン(笑)やライフハック(笑)にすっかり依存して仕事ができそうなフリを気取っていた私には、実にいいお灸となった。
もちろん僕はこれらの術を批判する気は毛頭ない。
Evernote(笑)だのDropbox(笑)だの モレスキン(笑)だのロディア(笑)だのは私も好きで愛用している。
しかし、最後に落ち着くのはやっぱりアナログでシンプルなやり方なのである。
そこら辺の僕のライフハック(笑)はいつかまたブログに書こうと思う。
本題に戻ろう。
この著書で述べられているように、普段見る手帳にしっかりとした自分の夢を書きこむのは実に素晴らしいアイディアだと思う。
だが、やはり私には夢という言葉はしっくりこない。どうも夢というのは白昼夢のようなふわふわしたような言葉の気がするのだ。
書くべきものはやはり「志」であろう。
孔子は論語でこう述べている
「朝に道を聞きては、夕べに死すとも可なり」
(朝に志をたてたら、その日の晩に死んでも構わない。)
そう、どんな困難でも立ち向かえる自分らしい志を見つけたら人生は切り開いていける。
それほど志とは大事なのである。
未来はどんな時代でも常に自分への投資でしかひらかれない。
予定やタスクや走り書きがぐちゃぐちゃに書きこまれてボロボロになった手帳。
そんな手帳が少しだけ、自分の志の実現へと近づけてくれる気がする。