お金のやり取りが絡むメールをタイトルだけで判断して中身を確認せず削除しては決して絶対にいけないただ一つの理由
最近はwebサービスなんかを立ち上げるときには自社サーバーを使うというのはまずなくて、レンタルサーバーなどを使うと思います。
私はエンジニアではないので詳しいことはわかりませんが、スケーラビリティが重視される側面でない限り、まずはちょっとした規模ならレンタルサーバーなどで立ち上げてみて様子を見てみる、という方は多いのではないでしょうか。うちでも当初の流れで一部を格安のレンタルサーバーで運用したりしています。
こういう場合決済方法はクレジットカードが一般的です。
スタートアップにとって、クレジットカード枠というのは不安定なものです。
当然立ち上げたばかりの会社では会社のクレジットカードなんてつくれませんから、まずは代表個人のクレジットカードを使うわけですね。開発担当者からこれこれのサーバーを契約してほしいとか言われて、はいわかりました。と代表個人のクレカとかを使って契約するわけですね。
うちでは事業規模が大きくなってきたため最近ようやく法人用のクレジットカードを作れたので、会社用のクレジットカードに切り替えたのですが、それでも法人用のクレジットカードというのも不安定なんですね。様々なサービスでの決済や海外サービスでの決済など比較的多くの金額の決済に使われるため、限度額が低いとすぐにいっぱいになります。
そんなさなか事件が起こりました。
ぼく「会社代表はメール処理毎日大変や。タイトルだけ見て重要そうじゃないのはスキップせな。」
メール「クレジットカードによる支払不能のお知らせ」
ぼく「ん?なんや引落し不能とか来てるぞ? あ、クレジットカードが限度額いっぱいでミスってる?? ファッ!?クレカ限度額いっぱいやんけ。よしとりあえずクレカ会社に連絡して繰り上げ処理で限度額増やしてもらったぞ。これで一安心や。」
メール「《再請求》サービス停止のお知らせ」
ぼく「!?ファ!? でもこの間クレカ使えるようにしといたし大丈夫やろ。」
メール「 1月度クレジットカード決済のお知らせ」
ぼく「お、なんや。問題なく決済されとるんやな。前回分はまとめて請求されるんやろなぁ」
メール「【重要】サービス一時停止予定のご連絡」
ぼく「ほーん。なんかサービスを一部停止するんか?? まぁさすがに影響ある範囲では止めへんやろ。最近ダイレクトメールもうざいしな。削除ポチー。」
開発「やばい。サーバー落ちてる。調べたら支払いできてないかも。」
ぼく「いやーすまん。出張中で対応遅れ・・・ ファッ!? 決済しとるやで!?なんでや!!」
「ご案内の期限までにお支払の確認をお取りできない場合、やむをえずサービスの提供を停止させていただくことになりますので、あらかじめご了承ください。」
ぼく「ファッ!? なんでや!? クレカで決済できとったやろ?!」
「本請求は会員メニューよりクレジットカードでお支払いただけます。」
ぼく「ファッ!?なんでや!?なんでや!? なんでわざわざ過去の分だけ管理ページから手動で決済せなあかんのや!?支払いポチー」
「お支払い確認後、数時間でサービスを随時復旧します
ユーザー「運営氏ね。」
開発「代表氏ね。」
ぼく「・・・」
WEB領域が勝負のスタートアップにおいてWEBとは信用そのものです。
サーバーの数時間の停止が命取りになりかねません。特にサーバーが全機能が数時間でも止められるともうどうしようもないです。
これがECとかなら売上ゼロですからね。詰んでます。
インフラ系のサービスは、電気代とか水とかそういったライフライン系のを考えてもらえばそうですが、仮に決済日に決済できなかったとしてもそうそう簡単にとまるものではありません。はがきや電話催促とか段階的に警告が来ます。不能だからと言ってもいきなり止めるようなことはせずそれなりの対応時間が用意されていたりします。あるいは決済に失敗した場合複数日にわたって決済処理されたり自動で繰越で決済されるような設計を採用していることも多いです。ましてやウェブサービスにおけるサーバーって、家であり、電気であり、水道であり、ガスであり、生活のすべてですからね。
今回の場合は支払う意思がなかったわけではなくて仮にそういうオペレーションが走っていれば問題なかったんですよね。
まぁ、結論からいうと、
というお話なんですが、クラウドがどうのこうの言う前に決済とかサーバー停止周りとか一番クリティカルのところがなんでこんな設計になっとるんや!!あかんやろ・・!! という、ダイイングメッセージでした。
幸いなことに、資金豊富で限度額がないクレジットカードをお持ちで、担当者がばっちりついてサポートも十分くらいそろっていて、日本語の読解力もあり、メールもあますことなくすべて常時確認している開発者の皆様にはこのような類のお話は無縁のお話でしたので関係ないですね。
ごめんなさい僕が死にますね。さようなら。
追記 1:42*
完全に八つ当たりで、ついカッとなって記事を書いたら、当該サービスの代表自らTwitterでリプライをもらいました。
@tokunoriben 与信枠不足の未払いでの停止は、ご不満もあるでしょうし申し訳なく思います。ただ勝手に追加請求すると意図されない与信枠減少となり、別の請求書へ勝手に割り当て直すと想定外のサーバが停止するなど弊害が多く避けております。何か改善策を頂きつつ改善に努めます。
— 田中邦裕 (@kunihirotanaka) 2016, 1月 20
@tokunoriben スタートアップの場合、意図しない与信枠減を避け、複数台サーバがある際には払う順番付けをすることも多いかと思います。その意図で必ず請求書と1:1で入金確認を行い未入金督促をお送りしています。ただご意見を参考に常に改善致します。今回はありがとうございました。
— 田中邦裕 (@kunihirotanaka) 2016, 1月 20
@kunihirotanaka 代表自らの対応恐れ入ります。原因は見落とした自分自身にあるので仕方ないのですが、決済不備からの利用停止フローの部分に関しては今回の事例同様にその他の利用者でも間違えば大惨事になる可能性があると思いましたので改善をお願いしたいです。
— 神のり弁 (@tokunoriben) 2016, 1月 20
@kunihirotanaka サービス自体には満足しておりますし、必要以上の事実を脚色して風評を害するのは不本意ではないので、本ブログに関しては代表の方からの改善について言及があったということで、内容を修正いたします。
— 神のり弁 (@tokunoriben) 2016, 1月 20
疑問のひとつだった追加請求が自動で行われない背景には上記相当の理由があるそうです。かえって直近の資金繰り対応が厳しい場合には神対応でした。立ち上げ当初からつかっている思い入れのあるサービスですし、全部ではないにせよ一部は使い続けているし、特定のサービス名をあげて必要以上の事実を脚色して風評を害するのは本意ではないので、事実のみの表記にします。
タイトルも指摘があり、確かにそうだな〜と思ったので、これに変えておきます。
「お金のやり取りが絡むメールをタイトルだけで判断して中身を確認せず削除しては決して絶対にいけないただ一つの理由」とかにした方が良さそうと思ったしただ一つもクソも当然やんけ,という感じがします…… / “スタートアップがさくらのV…” https://t.co/pnGl941dQq
— 西日本高速道路四国支社 (@side_tana) 2016, 1月 20
クレジットカードが不安定と分かってるならなんで請求書払いにしなかったんだろう。クラウドとかと違ってさくらのVPSは請求書払い出来るのに:スタートアップがさくらのVPSを決して絶対に使うべきではないただひとつの理由。 - 拝神 https://t.co/iDAvfBlMYW
— きみとぼく(21,むぎゅむぎゅ芸人) (@emaxser) 2016, 1月 20
当たり前ですがどこのサービスだろうが、理由がなんであれ、金を期日に払わなければ止まります。
海外の某のサービスだともっと容赦なくぺらっと死ぬので、うっかりメールを別フォルダで見落としていたり、ずぼらな担当者がこういう適当なことをしてないか、他山の石として確認しとこうね。という教訓でした。
というわけで、ごめんなさい僕が死にますね。さようなら。