ショートショート 「50年後の君へ」

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少年「わぁ、おじさん、このクルマカッコイイね!? おじさん、どこから来たの?」

「ああ、おじさんはね、今から50年後の2015年の10月21日の未来からやってきたのさ。」



少年「わぁー!すごい! 今から50年後の未来の日本かぁ。どんな日本になってるんだろうな。今の日本は東京オリンピックの話でみんなもちきりだけど、おにいちゃんが来た50年後の2015年の日本では何が話題になっているの?」

「ああ。実はね、いまから50年後の未来の日本でも同じように東京でオリンピックが、開催されることが決まったんだ。」

少年「ええ〜! すごい!! また東京で2回目のオリンピックが開催されるんだぁ! 50年後の東京かあ 今と比べてどんな日本になってるんだろう。あっ!おじさん この写真はもしかてあたらしい国立競技場!? すごい!宇宙船みたい!!かっこいいなぁ。すごいや日本! いったいいくらかかるんだろう!!?」

「うん。これは過去5回に開催されたオリンピックのメイン会場の建設費の合計よりも高い金額なんだ。」

少年「うわ〜 5つの国の合計より建設費がかかる会場!? すごいや日本! 日本も未来にはついにそんな金持ちの国になったんだ!!」


「いや、これは金額が高すぎて払えないってことで、中止になった。」

少年「えっ。中止。」

「うん・・・・中止。だから新しいのをつくることになった。」

少年「そ、そっか・・でも、未来の国立競技場だから、ハイテクな機能がついているんだろうなぁきっと今僕達が高くて買えなかったエアコンとかがついてて、夏だけど涼しいところで試合とかを見れたりするんだろうなぁ。」

「・・・いや、新しい競技場にもエアコンはつかないんだ・・・ これ・・・・」

少年「エアコン、ないんだ・・・」

「うん。エアコンも屋根もつけれなかった。」


「・・・・・」



少年「・・・・ねぇ、おじさん 本当に未来から来たの? 本当に東京オリンピックなんてまた50年後にあるの??」


「本当だよ。ほら。これ東京オリンピックのロゴ。」


少年「わぁ 本当だ。2O2O TOKYO って書いてある!これはふしぎなデザインのロゴだね。」


「うん。デザインしたのは日本だけじゃなくて世界でも数々の賞を受賞した佐野さんっていう日本を代表するデザイナーがつくったんだ。」


少年「すごいなぁ!!! 日本からもそんな有名なデザイナーが出るようになったんだね。お父さんが日本はいつまでも外国の真似ばかりしてちゃだめだ、サルマネばっかしてちゃだめだって、メイドインジャパンに誇りを持たないといけないって言ってたから、日本の文化レベルも50年後には立派にそんな国になったんだね。」


「・・・いや、これはパクリだってことで使用中止になったんだ・・・」


少年「えっ!?!! パクリ!?!」


「・・・・うん。」


少年「・・・そんな、パクリだなんて・・・ いくら日本がサルマネだって言われても、東京オリンピックみたいな世界的大きなイベントで、そんなことするほど日本は落ちぶれてないよ!!この間のオリンピックだってうまくいったもん! 堂々とパクってませんって自信をもって海外に言えばいいのに。」


「いや、ごめん指摘して反対運動起こして叩いてたのは日本人なんだ・・・。」


少年「・・・は?・・・・そんなの堂々としてればいいのに・・・おじさん、オリンピックのロゴをつくるなんて、デザイナーにとって一生に一度あるかないかのチャンスなんじゃないの? そんな貴重な機会のロゴをまねするって、いくらなんでもそんなことしないと思うよ。日本のロゴがパクリだって叩いている人たちは何が楽しくてそんなことをしてたの?」

「・・・・・」

少年「・・・まぁ、いいや。・・・あっ。この写真は!? この衣装はなあに?」

「これはね、ボランティアの衣装。2020の東京オリンピックのときは海外からやってきた観光客をボランディアがこの衣装を着てサポートしてあげるんだ。」

少年「わぁ、これは今風でおしゃれだね! 大阪のくいだおれ人形とそっくりだ!! かっこいいなぁ〜 50年後もファッションセンスは今とあまり変わらないのかな!?」

「・・・・」


少年「でも、それにしても50年後の東京かぁ 日本はどんな国になるんだろうなぁ。」

「そうだね。きっと小さな君が想像もつかないような素敵な未来が待ち受けているよ。」


少年「わぁ! あのね、・・・最近お父さんはね、大切な友人が自殺しちゃって、こんな1965年にもなって未だに毎年1万5000人もの人間が自殺する今の日本はおかしい、って泣いてたんだ。でもね、これから日本はきっと豊かな国になる、自殺なんかする人はどんどん減っていく素晴らしい未来が待ってる、お前はそんな未来を生きろ、俺みたいな思いはもうするなって泣き笑いしながら言ってたなぁ。」

「・・・・そうだね・・・」

少年「あ、おにいちゃんはね、これからは生活も雇用も不安定な非正規雇用の時代は終わりだって、正社員の時代になるって言ってたよ。日本はどんどん豊かな国になって進歩して、今の1965年の日本みたいに400万人もの人が不安定な非正規雇用の仕事をしている状況はどんどんなくなるんだって。代わりにロボットっていうのがそういう仕事をしてくれて、人が畜生みたいに働いて死ぬなんて未来はもうありえない時代になるぞって言ってたなぁ」

「・・・・そうだね・・・」

少年「あ! 僕はね将来かわいいお嫁さんとかわいい赤ちゃんがほしいな! でもこの間、学校の女の子にあんたの顔じゃ結婚なんてできっこないよ なんてからかわれて、不安になって学校の先生に相談してみたんだけど、学校の先生がね、心配しなくても大丈夫、今の1965年の日本の男性の生涯未婚率は1.5%だから。この国のみんなのほとんどの人はきっといつか結婚するからそんなことで心配しなくていいよ、いつか必ず素敵なお嫁さんが現れて、素敵な家族ができるからそんな当たり前のことを心配しなくていいよ、素敵な家庭をつくるために一生懸命がんばりなさいって。」


「・・・・・そうだね・・・」


少年「あっ! そうだ、福島に住んでるぼくのおばあちゃんはね、今度福島に原子力発電所っていう、新しい未来のエネルギーができるって喜んでたよ。もう今の発電所とか違って煙もでなくて、いつまでもこの村のきれいな自然のなかで空気ときれいな海で生活できるって喜んでたなぁ。大好きな福島のこの村と自然がいつまでもきれいなままで自慢できるって、喜んでたよ!。」


「・・・・・そうだね・・・・」


少年「わぁ〜 50年後楽しみだなぁ! ・・・あれ ねえ、おじさんどうして泣いているの? ・・・おじさんもしかして嘘ついてる・・・? 」


「・・・ううん。なんでもない。おじさん嘘なんてついてないよ。50年後の未来の日本はね、今よりもずっと豊かな素晴らしい未来になっているよ… 毎年人が数万人も自殺するなんてことはもうないし、数百万人もいる非正規雇用なんてものはどんどん減って、テクノロジーの進歩で人が働き過ぎて死ぬなんてことはなくなる、結婚だって誰でも自由に恋愛して、一生結婚できない孤独な人なんていなくなるし、おばあちゃんの住んでる福島は新しい未来のエネルギーのおかげで50年後の未来でも綺麗な自然で人の笑顔あふれる素敵な村のままだよ…」





少年「わぁ!よかった!嘘じゃなかったんだ 50年後の未来の日本が楽しみだなぁ!」




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火垂るの墓をみて号泣しつつ、シリア難民を虫けら扱いする日本はまさに「クール・ジャパン」そのものの醜い姿だなぁ。

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今年は戦後70年ということで、戦争とか平和を話題にしたニュースがとても多い気がする。

でも大変ですね。国家というものは。

いやね、中学入っていきなり他校の生徒によびだされたとき
お前ンとこの中学の70期前の3年の田中ってやついるだろ? そいつにうちの70期前の鈴木が、ずいぶんお世話になってかわいがってもらったそうやないか。お? おめー田中のかわりに詫び入れろや。

って言われたら うわ この人頭のおかしいひとかな? かかわらんとこ。 って思うんだけど、実際国家間の対立になるとそうは簡単に行かないのでややこしいですね。

世界に誇る平和国家日本とか行ってるけれど、ただ、それは日本が運良くここ70年くらい極東という世界のクソ外れの島国にあったということで、自分らは世界の動乱に巻き込まれなかっただけで、世界情勢を鑑みると、現在進行形で血が流れまくっているというか、まだ終わってないんですよね。


そもそも日本人が言う平和って言葉がよく無いですよね。日本人が言う平和ってなんなんでしょうね。




いやね、今世界でそういう争いがないとかだったらいいっすよ。博物館みたいにさ「人類の過去の歴史の中には戦争という互いを殺しあう信じられない風習がありました。」みたいな展示コーナーがある時代になってたら、そんな時代を先読みしてた日本先輩ぱねえっす、ほんと先輩についてきてよかったっす!皆先輩のおかげっす! って感じだと思うんだけど、いま起きてるじゃん普通に。シリア内戦なんかは国民が20万人くらいに死にまくってるし、イスラム国とかいうクソやばい組織は首バシバシ斬首してるし、ロシアとウクライナと揉めて内戦してるし。・・・

いや、「私達は戦争の惨禍を忘れてはいけない・・・戦争の記憶を語り継がないといけない・・・」とかかっこいいこといっちゃってるけど、世界ではまだ終わってないじゃん?! 

私達は戦争の過ちを繰り返しません・・・ ってもしもーし。何、お前いい話にしちゃってるの?? 今シリアで20万人くらい内戦で国民死んでるけど。これはアウトオブ眼中的な感じ? もしくはこの人たちは人でないバクテリア的ななにか?

今日今この現在でもの現在も普通にシリアでは戦車にGoPROとかつけて4Dで映像ガンガンyoutubeにアップされてるし、イスラム国は自爆トラックでガンガン突っ込んでるし、ドローン飛ばして撮影してるし、虐殺動画はCGバリバリの画像加工されて映画みたいになってるし、イスラエルはガザ地区にずんずん空爆して数千人単位で死んでるし、世界中であらゆる国家の思惑が入り乱れてとんでもないことになっているけれど、「俺の知ってる戦争と違う!!」 みたいにスルーって感じだよね。

あと、だいだい日本の言う戦争の惨禍を語りつがないといけないって言ったって、今80歳とかそこらの人ってっ終戦時で、10歳とかそこらのわけでしょ。

いやね、例えばさ、俺とか28歳とかだけど、
俺(当時4歳)「日本のバブル景気は本当に勢いがあった。ジュリアナ東京とかは本当にこの世の春だった。今はなきお立ち台は最高だった。就活も今とは比較にならない売りて市場で恵まれた環境だった・・・ それに比べていまのアベノミクスは虚栄でまやかしであることか・・・」


とか語ってたら、今はいやいや、まてまてwww  お前当時何歳なんだよww なーにがバブル景気だww おかしいだろwwと突っ込むけれど、これが戦争になると

涙目の爺婆(当時8歳)「目を閉じれば昨日のように思い出す・・・あの戦争の惨禍はいつになっても忘れられない・・・我々はかつて国が惨禍へと導いいたあの過ちを繰り返してはいけない・・・」

日本人「実際に戦争を体験した人の言葉は重い・・・」


みたいになぜ戦争になるとそれが全うにまかり通ってしまう不思議感ある。

そんなさ、記憶が定かが怪しい爺婆なんかの話を聞いたり、白黒の古くっさいゼロ戦がヴァーって飛んでる動画見て戦争の惨禍とか言わないでさ、それより今、シリア内戦の被害者を連れてきた方が全然リアルタイムで語り継げるんじゃないか? 古いよくわからん動画見るより、今イラクとかシリアで過激派が撮影してるHD動画とか、樽爆弾が街のど真ん中炸裂して頭グチャグチャにすっとんで家族がすっ殺されてる画像とかの方が戦争の悲惨さ伝わるんじゃないの?? 


だいたいさ日本の夏の代名詞で毎年火垂るの墓とか放送やってるけどもさ皆、泣ける泣けるいうてフィクションじゃん。

日本人「火垂るの墓はいつみてもマジで泣ける・・・」
日本人「4歳と14歳で生きようと思った、なんて切ないキャッチコピーだ・・・こんな幼い兄妹が惨めに餓死しなければならないなんて戦争は悲惨なんだ・・・」
シリア難民少女「あっ、あの、すいません・・・」
日本人「なぜこんななんの罪もない幼い兄妹を助けてあげることができなかったんだ・・・」
日本人「本当に戦争は悲惨だ。平和国家の日本はこの過ちを繰り返してはいけない・・・」
シリア難民少女「あ、あの、私も、家族を戦争で失って、自分の国を逃げて、お腹が空いて・・・どうしたら・・・」
日本人「ほんとう火垂るの墓はいつみても泣けるな。」
シリア難民「・・・・あの、すいません 助けて」
日本人「・・・チッ うっせーな・・・ こっちくんじゃねーよ・・・」
シリア難民「!? えっ」
日本人「ー なんでホタルすぐ死んでしまうんやろなぁーなんでホタルすぐ死んでしまうんやろ悲しいなぁ・・・」
シリア難民「・・・・」

みたいな状態なわけでしょ。

まぁ、ぶっちゃけ言うと、やっぱり日本が言う平和っていうのは、言ってしまうとガイジンがどんだけ死んでようが殺し合おうが、日本人様には知ったこっちゃないわ。俺たち日本人様の命が第一っていうマインドセットなんだよね。

ほら日本人ってさ、海外で事故があると、すーぐ邦人ガー邦人ガー、って日本人以外はどうでもいい感ない?そりゃ日本だからさ日本人の関係者が巻き込まれているかどうか賛否を確認する必要というのはあるけど思うけど、日本人死んでなくても人が死んでるわけじゃん。 最近このスタンスってどうかと思うわ。日本の国際情勢感ってこんな感じやん。


「イラクで自爆テロで発生した21人が死にました。邦人の犠牲者はいませんでした。物騒ですね。」

「フランスで銃乱射事件があって8人死んだそうです。邦人の犠牲者はいませんでした。怖いですね。」

「世界の皆さーーーーん!!今日本が大変です!!!!ほら!イスラム過激派組織に2人も誘拐されました!!! 身代金として1人100億円を要求されて日本が困ってます!世界のみなさーん!日本がすごく大変です!!! なんせあの日本が!!世界から尊敬されている日本が困ってるんですよ!! なんせ日本は平和国家ですから、これは困りますね〜〜〜!!武力行使できないですからね〜 大変だと思いますか??? ですよね!!日本人の命が今大変です!!1人100億円の身代金です!!  あー 見てください!! 日本の国会前で平和のために歌とダンスも始まってます!! Put your hands up! Put your hands up!  日本の総理大臣も大変ですよ~!!あ〜〜!  Twitterでは自己責任論の嵐です!! うわ〜〜〜 学生が真似をして不謹慎で炎上しした!!! 残虐性の影響で青少年の影響も甚大です!!!!  さ〜〜 大変だ!!皆さん世界が尊敬する日本がすごく大変です!二人も人質にとられて、見て!!これはすごく大変な状況です!これは大変だ!どうしようもないです!!日本人の命が風前の灯です!!! 皆さ〜ん平和国家日本の日本人が二人も誘拐されて今本当に大変なんです〜!。」

「シリア内戦で20万人が死にました。難民で1000万人家が無いそうです。悲惨ですね。さて、連日熱い日が続いていますが、次のコーナーではそんな夏の日でも毎日がず〜っと楽になる面白ひんやりグッズをご紹介しちゃいまーす!!」

みたいなノリでしょ。


なんていかさ、世界はどんどんグローバルフラット化してさ、じゃあシリア難民をどうしようか、世界的な脅威のイスラム国をどうしようか、テロリズムをどうすようか、我々も他人事、知らぬ存ぜずでは通用しないぞ、なんとかしなきゃって、みんな自分事として考えてるのに極東の日本ではさ、戦争が平和とか言ってデモしてるんだよ。戦争とか平和とかって、そんな重い言葉をこんな軽々しく使うのか・・・ お前それまさにいま渦中のシリア難民の前とかでもいえんの?って胸が痛くなる。

もちろん、日本が誰も歯牙にもかけない無名弱小国だったら、そりゃいいかもしれんよ。でも、日本は経済的にもあらゆる面で世界をリードしていくリーダーに冠する立場であるのでしょう。リーダーシップというのは、自分は無関係だから巻き込まないでほしい、自己責任でしょって知らぬ存ぜずを決め込むことではないと思うよ。当然、人が絡むことである以上利害の対立や、そういうのを含めて時には全体のために厳しい決断をする必要があるのがリーダーに求められる立場でしょう。


いまの日本人が言う平和って現状は正確にはこうじゃん。

「ぶっちゃけ日本人以外のガイジンが死のうが殺されようが殺し合おうがどうなろうが、日本人様にはまったく関係のない話なのでどうぞ勝手にやっててください。我々は平和国家なのでwww かーっ憲法に書いてあるかほんと俺そういうのできないわーww ほんと俺できないわーww  あ、でも日本人様の命の価値はお前らガイジンとは違って価値が違うので何かあったらお前らガイジンがいくら死んでも一向に構わんから命かけて助けてね(笑) あ、あと難民とかほんと迷惑なんでやめてもらっていいですか。マジで。ほんとそういうの無理なんで。」

みたいなことを平然と言ってる感じなわけでしょ。

そんでもって、クール・ジャパン!! アニメ最高!!ドラゴンボール! ワンピース! ジブリ!  ほうらおまえらガイジンはこういうの好きなんやろ? ん? ん? みたいなことをやってるわけでしょ。

なーにがクールジャパンなんだよ。単なる空気よめないキモオタだろ。。。クールジャパンなんかって言ったって今のままだったら、卑屈で残酷な日本人の姿そのものの代名詞になりそうじゃんか。。。


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人にはなぜか居心地の良さを感じられる年齢層があってそこが人生のピークなのかなぁというお話。

なんとなく、Amazonでセールだったので読んでみた「ぐらんぶる」という漫画が自分人生史上五指に入るほどの面白さで、速攻で全巻買いそろえて何度も何度も読み返してはニヤニヤしてしまうくらいにははまっていて、こんなに同じ漫画読み返すとか自分人生史上においてなかったので自分でも感情の整理がつかなくてどうしようか困っている。

ぐらんぶる(1)
ぐらんぶる(1)
posted with amazlet at 15.09.10
講談社 (2014-11-07)



漫画の内容としては、なかなか珍しい大学のスキューバダイビングのサークルをテーマとした青春コメディー漫画というものに分類されるのだと思うのだけど、まぁ、大学のサークルというものを経験したことがある人には伝わると思うんだが、実際の大抵の大学サークルと同じように、ダイビングサークルだからといって、ダイビングの専門的な解説なんてほとんどしてなくて、ほとんどのシーンが素っ裸(ただし男)が呑んだくれているギャグ漫画で、ダイビングに関することがほとんど出て来ない実にふざけた漫画なんだよね。



似たようなスポーツコメディ漫画のジャンルではパッと思いつくところでいうとかのレジェンド、稲中卓球部みたいなのが有名どころかなぁって思うのだけど、ただいかんせん「ぐらんぶる」は作画とかコマ割りの展開が感動的に美しくて、面白くても絵が苦手だと没入できない俺みたいな層にツボすぎて、思わずスクショとかとりまくってしまったわ。

ちーちゃんかわいいよ。ちーちゃん。


つたわるよね?つたわるよね? このスクショでツボ感つたわるよね?w
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うは、俺キメェww



ちなみに原作者は「バカとテストと召喚獣」っていう有名なラノベを書いている人らしいね。僕は読んだことはないけれどなぜかタイトルは知っているので、おそらく有名なラノベなのだと思う。


ただ、当然こんなに俺史上五指を争うおもろい漫画なんだから、ネットでもまとめサイトとかいっぱいあって、ファンとしてはにやにやできるまとめ記事とかがあると思って意気揚々と検索してみたのだけれどろくにまとめブログとか感想書いた記事も出て来なくて、あんま人気ないのか。と思って衝撃を受けた。


最近ふと思うところがあっていつかブログに書こうと思っていたのだけれど、漫画で学園ものっていうと、ほとんどの漫画が高校生活がテーマで、実は大学をテーマにしたものっていうのはあんまり多くないなぁと思っていて、(設定としてはあるけれど、主題とか舞台になるようなので有名なのはそうないよね?)

これはやっぱりいくら今の日本が大学の全入時代だからといっても、大学進学率はせいぜい50%程度で、日本の半分は高卒っていう状況からすると漫画で大学生活をテーマにするというのは、「俺らが必死に働いている間、親の金で好き勝手遊びやがって・・・」という高卒の嫉妬心を煽るみたいであまり感情移入しにくいというか、実体験として大学生活のバックグラウンドを持っていない人には没入しにくい、ということで漫画をマーケティングの目線からみたときに、まぁ同じ学園生活なら高校をテーマにした方が割とターゲットが広くなる理由で、実は大学生活をテーマにした漫画でおもろい漫画って少ないんじゃないか、って気がついた。ちなみにひとえに大学生活といっても、理系か文系かとか地方か都会か実家が一人暮らしか、リア充かぼっちかでそれぞれ属性はまったく別物なので、めちゃくちゃツボ感を狙いにくいのだけれけど、高校生活というのは一応日本人のほとんどは共通の人生経験を持っているので、実際はありえない、なぜか無駄に権力がある謎の生徒会とかのとんでも設定でもすんなり冗談の範疇として受け入れられるというか、フィクションとしての面白さがでるというか。


つまるところ、高校生時代っていうのが多数の日本人にとって人生の機微を感じる上ではピークの年齢なんだろうなぁって思うというか、そこにみんな共通の情景を見出しやすいのかな、っていうのを考えているうちに冒頭の問いに戻って自分がなんでこんなぐらんぶるという漫画にはまったのかなーっていう理由は、俺にとってはそういう大学のこの年齢層が自分の人生史上ピークだった説、というのが割と現実的な解としてでてきてしまって衝撃的だった。



うちの会社にはいま、大学のインターンの子が何人がいるのだけど、これが皆とんでもなく優秀で、自分が同じ年齢のころにインターンをして考えていたこととかやっていたことと比較すると、当時の俺が同じ年齢であったということが信じられないというか、衝撃的でこの学生らの末恐ろしさを感じてしまうことが多々ある。もちろん、採用にいたるまでいろいろと結構な数の学生とかいわゆる意識高い学生とかと面接とかをしていて、その中では表向きはうわぁすごいねぇと言いつつも頭の中では、
(あーはいはい、意識高い高い。だいたいおまえが言ってるインターン経験とやらは、ただの学生向けにお膳立てされたお仕事ごっこ体験コーナーだろwww そんでもってなーにが新卒募集してるような会社のインターン経験や内定だけで意識高い俺(ドヤァとか言われてもwww。自分は単に都合の良い安価な労働力が欲しい労働集約型産業の労働者ですいうとるようなもんやんけw)

みたいなことを思いつつも、面談の数をこなしているとなぜか直感でダイヤの原石感を感じてしまう学生と出会うことがあって、その場合三顧の礼で採用して、やっぱりこれが皆とんでもなく優秀で、向上心というか成長速度というかスポンジが水を吸うみたいにどんどん吸収して、投げたボールをバコスコ打ち返してくる様が面白くて、

うーーーーん!!!! とはいえいくらなんでも会社としてはこんな重要な意思決定を学生のインターンに任せてはいけないだろ!!!!よく考えろ!!!! いったい代表は何をしてるんだ!!!!あ、代表は俺か!!  というような場面が多々経験しつつも、いまこの年齢でこの子らがこの経験をすることで、その子の将来の可能性がどうなるのか、正直みてみたい気がする・・・と思いつつかなり会社の重要なプロセスを委ねてしまうのを結構経験したりしまっていて、なんていうか、そのプロセスというか、自分が20代かそこらの学生の可能性と接していることに居心地の良さを感じているというか、そのやりとりの中ではたと自分の目線の高さの現状に気づくことがあるというか、もしかしたら、俺にとってこの頃の自分が人生のピークだったのかなぁ、と感じることが節々にあって。

正直、俺自身もまだまだ20代なわけでもっと目線をあげて上へ上へと成長していかないといけないと思いつつここに居心地の良さやたらればの可能性に強くてニューゲーム感のゾクゾクするほどの背徳感を感じてしまって、ああ、ぐらんぶるの漫画の話もあったけど、やっぱりもしかして俺にとって自分の人生のピークはあの頃だったのかなぁ・・・と切なくなるときがあって、いろいろ考えさせられて、まるで学生じゃないかっていうくらいに安酒でアルコールを飲んだくれてしまうのでありました。

ぐらんぶる(4)
ぐらんぶる(4)
posted with amazlet at 15.09.10
講談社 (2015-09-07)