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年上だと思っていたカイジが自分よりずっと年下になっているって事実に気がつくと人生が辛くなっちゃうよね。

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賭博黙示録カイジというマンガがあります。1996年から連載を開始しているマンガで賭博をテーマとして、カイジという若者が借金返済のために、ギャンブルに挑んで行くというマンガです。これだけならよくある話ですが、この賭博というのが尋常じゃなく、落ちたら死ぬ鉄骨をわたったら2000万とか、負けたら聴力や視力が失われるカードゲームとかそういうまさにトチ狂ったギャンブルをやっていき、主人公のカイジが死力をつくし幾多もの死線をくぐり抜けていく、というわけです。ネット界隈ではその特徴的な表現やお金や人生といったクリティカルな要素に絡む至言が人気を博し、アニメ化や映画化おこなわれました。


確か僕も高校生のときにカイジのマンガを見て面白いなぁ、と思って以来ずっと毎週連載誌を買って読んでいました。

最近、アプリか何かで無料で読めるアプリがあったのを見つけてインストールして久しぶりに1巻から読み直してみました。
ビッグになるぜだとかなんとかで、高校を卒業しとにもかくにも東京に出てきたものの、やってることと言えば仲間内のちょっとした賭け事やら酒やらで無気力で自堕落な生活を送る主人公カイジ。そんなカイジがたまたま友人の借金の連帯保証人になったばかりに、あれよあれよで博打の世界へと引き込まれて行きます。

負けたら廃人確定の希望の船でじゃんけんゲームに興じてみたり、先にあげた落ちたら即死確定の鉄骨をわたったら2000万とか、負けたら聴力や視力が失われるカードゲームとか、地下の強制労働所でちんちろりんをしたりとか、パチンコ、麻雀、クイズ?、ブラックジャックとか。思えばカイジさんでは20年弱くらいずっとギャンブルをやっているわけですね。

でも、そんな自堕落で借金抱えて賭博三昧のカイジさんはいったいはたして何歳だったのかな、とふとwikipediaを見てみると、なんとカイジさんは推定21歳とのことでした。そしてマンガ内での時間軸も実際はほとんど1年、ないし2年かそこらの出来事なわけです。

そして、あのとき、命をかけて賭博に挑まざるを得ない狂った人生に転じたカイジを自分はこうはなるまいと安心半分、怖いもの半分でドキドキしながら読みふけっていた当時優等生だった高校生の若者は、気がつけば27歳になっていてカイジよりもはるかにずっと年上になっていたのでした。



ハッピーバースデーと言いますが、誕生日、って本当におめでたいですか? 

僕は最近自分の誕生日を迎えることが辛くて辛くてたまりません。

友達はすくないですが、まあそれなりに交友関係はありますので、半ば社交辞令的にFacebookにおめでとうというメッセージはたくさん来ます。でも、本当にめでたいんでしょうか。

アラサーとかなんとかいいますが、実際問題20になったときよりも25歳になったときとかよりも26歳から27歳への変化というのがいちばん精神的に来るものがあります。

先にあげた、カイジさん。無気力で、自堕落で、借金まみれで、どうしようもない人生をおくっていて、借金の取り立て人やらなにやらおまえはどうしようもないクズだのなんだの言われても、でも、彼はまだ21歳じゃないですか。たとえ数百万の借金があったとしても、賭博ですっからかんになったとしても、まだいくらでも彼の人生の前途には明るい可能性がある、と思うんです。

むしろそれどころかそれくらいの年齢のときに騙されて数百万もの借金を抱えて鉄骨わたってるってこと自体、得難い経験なので本でも書いたらベストセラーになりそうなエピソードです。

それくらい21歳か半ばの、年齢っていうのは前途に希望があふれています。

でも、27歳ってどうなんでしょう。

将来俺はビッグになるぜ、という野望を持つ事は決して悪い事ではありません。

バンドマンやお笑い芸人、アーティスト、小説家などなど、なんであれ、男として生まれたからには夢の実現に向けて一発花火を打ち上げて大きな勝負を打つべきです。

そして僕も例にもれず、数あるうちあげ花火の中でも、起業という海千山千の魑魅魍魎が跋扈し、国破れて山河有りどころの終末美どころか下手すると醜いマイナスからの人生リテイクというリスクすら存在するある意味鉄骨をわたるより狂った賭博に手を出しているわけです。

そしてその会社もつくって3期目になってしまいました。

ありがたいことにご縁やら何やらとありまして、金が唸ってるわけではないのですが細々と食えている、というかそれも単にミニマムコストが低いだけという、だけですが。そういう状況ではあります。

しかし、鑑みてみるとこれこそまさに、かつて自分がこうはなるまいとなかば上から目線の小馬鹿に見ていた、自堕落で無気力で退廃的まカイジさんそのもの姿、むしろそれをはるかに超えてしまった存在になってしまったのではなかろうか、ということに折しも気がついてしまいました。

そして、ちょっとした動揺が走る訳ですね。

現実問題、将来は俺はビッグになるぜ、と根拠のかけらもなく野心猛々しくくだをまくのは何歳まで許されるのでしょうか。

未だなんの結果も残せていない売れてない27歳のバンドマンやお笑い芸人などが「俺はビッグになるぜ」とくだをまいていても、あなたはそれを心の底から応援できますでしょうか。まぁ実際問題没入している最中は自分自身は楽しかったり、それはそれでロックな人生というのはモテたりとかで、楽しいんでしょうが。うっすらと可能性という帳が自分の周囲におりかけようとする感覚に気がついたりすると、感情の機微はおおいに揺らぐことでしょう。

そして27歳の売れてない自称起業家というのは、許されるのでしょうか。

そんな感じの話を音楽好きの先輩経営者さまにぐだっていたところ、

27CLUBという存在を教えてもらいました。

初めて知ったのですが、こうも名だたる世界有数のアーティストがなぜかこの27歳という年齢で死を遂げているのですね。

まぁ、彼らは誰もが羨む成功をおさめている訳なので、それはそれで全然違った動機なんでしょうが、今の今まで人生の中で燦然と輝いていた無限の可能性だったものが、ある程度自分の人生の中で実現できうる形として具体性を持って収斂するのが実はこの年齢なのではないだろうか? 

というような、ことを考えたりしてしまうわけです。

ダイの大冒険で、ヒムさんがノヴァさんにとどめをさそうとするときにいう名言にもありますね。

「ぶざまに生き残るぐらいなら美しく死んだほうがいいと思う人種がこの世にはいるんだよ…」、と。

まぁとはいえ僕も厭世しているわけでもなく何か賽を仕込んでいないわけではなく、今年にかけてちょっとした賭博をやるために邁進しているわけですが、それはまたおいおい明らかになるでしょう。

それでも27歳にもなって未だこんなところで蠢いているのかぁというの現実は直視に耐えないところがあります。



ビジネスというのはどう見方を変えても、最後にはリスクとリターンというものに収斂します。

勝ったら得る物は何か、負けて失うものは何か。

結局帰着するところはそこなので、そこから目を背けたら経営者として実業家として起業家として失格なわけです。

その本質的な部分とにらめっこしながら、無限の選択肢の中から意思決定をしていく、というのがあるべき姿だと思います。

この問いに対して意思決定する、というところだけみていると、まぁ端から見ていると、楽そうに見えるのですが(実際僕はそう思ってたんですが)実際問題やってみると、この意思決定というのが、質の違った大変さがあるわけです。

かつて、僕もサラリーマンをしていたことがあるので、わかるのですが、給料をもらう仕事で、大変というのをさす場合、時間的な拘束あるいは人間関係の衝突というのこの2つをさす事がほとんどです。


これはもちろん、肉体的や精神的にも大変なのは間違いないのですが、これはある意味思考や責任を放棄できるという楽さもあります。

とにかく決められた時間に、決められたことの実現に向かって自分ができる範囲ですべきことをする。

あるいはうまくいかないことがあるのだとすれば、それはこいつが悪い、このせいだ、ということではっきりとした問題点が明確になる。そういう形で自分の中で折り合いをして納得しうる理由をつければ、無の心理状態でやり過ごすことはできます。

一方組織のリーダーというのはこれらから解放される術をもつことができます。時間的な負担も関係も自らの判断で退けるのも変えるのも、できなくはありません。

ただリーダーは「なぜそれをしなければならないか。」「わたしはどうあるべきか。」という問いかけからは決して逃げられません。


むろんとはいえ多くの場合は、顧客がいるから、とか社員がいるからとか、外部にその解を求めるのはわりと簡単なことなのかもしれません。あるいは忙しさは本質から目を背けさせてくれます。

ただ、やっぱりチャレンジの本質である果たして自分は勝ったとして、何を得たいのか、という自分への本質的な問いからは避けられません。

地位、金、名声、それらは自分が手に入れたいのか。あるいはそれらが手に入れられなかったら何を失うのか。

そういう本質的な問いに直面したときに、自分の中の薄っぺらさに気がついて絶望するわけです。

もちろん、対外的には歯切れのよい、言葉を取り繕うこともできますでしょうが、あくまで体裁であって、己の中に潜むそれらに目を背けることはできません。

若さというのは、これらの問いに具体性を持たせない、という利点があります。

闇雲に、おぼろげなら、こういうものが成功という証であろう、という漠然とした何かに向かって、邁進していくことができます。

しかして、上にあげたとおり齢27歳というのは、その当たりの邁進していた目標が果たして具体的にはなんだったのか、ということを立ち止まって考えさせられる年頃なのかもしれません。また、あるいは自分が目指していた漠然とした目標の鱗片、例えば全貌像を容易に想像できてしまうのような一端に触れてしまうそういった中で折り合いをつけていくというのが求められるのがこの年頃なのかもしれません。



ですから、……皆さんのご指摘を真摯に受け止めて、起業家という大きな、ク、カテゴリーに比べたらア、利益、セィッイッム交際費の、報告ノォォー、ウェエ折り合いをつけるっていうー、ことで、もう一生懸命ほんとに、少子化問題、高齢ェェエエ者ッハアアアァアーー!! 高齢者問題はー! 我が会社のみウワッハッハーーン!! 我が会社のッハアーーーー! 我が会社ノミナラズ! 西宮みんなの、日本中の問題じゃないですか!!

そういう問題ッヒョオッホーーー!! 解決ジダイガダメニ! 俺ハネェ! ブフッフンハアァア!! 誰がね゛え! 誰が誰に投資ジデモ゛オンナジヤ、オンナジヤ思っでえ!

ウーハッフッハーン!! ッウーン! ずっと投資してきたんですわ! せやけど! 変わらへんからーそれやったらワダヂが! 起業して! 文字通り! アハハーンッ! 命がけでイェーヒッフア゛ーー!!! ……ッウ、ック。サトウ記者! あなたには分からないでしょうけどね! 平々凡々とした、会社を退職して、本当に、「誰が起業しても一緒や、誰が起業しても」。じゃあ俺がああ!! 起業して!!

この世の中を! ウグッブーン!! ゴノ、ゴノ世のブッヒィフエエエーーーーンン!! ヒィェーーッフウンン!! ウゥ……ウゥ……。ア゛ーーーーーア゛ッア゛ーー!!!! ゴノ! 世の! 中ガッハッハアン!! ア゛ーー世の中を! ゥ変エダイ!


という感じで強引にオチをつけて終わります。

27歳でもよろしくお願い致します。


賭博破戒録カイジ 1 (highstone comic)
フクモトプロ/highstone, Inc. (2013-07-25)