文化祭で最恐のお化け屋敷をつくる方法

f:id:tokunoriben:20130102174024j:plain

高校からの旧友がめでたく結婚することになったので、久しぶりに高校時代のことを思い出していました。

そういえば。自分高校のころなんかしてたっけなーって思い返してみると、文化祭でお化け屋敷をつくっていたのを思い出しました。

あまり記憶が定かではない部分があるのですが、うちの文化祭では各クラスで最低1つ以上、出し物を出す必要があってそのときに自分がリーダーとなって3年間ずっと、出し物を仕切ってました。今思えば自分のリーダーっぽい要素はこのあたりの原体験が影響してるんだろうな、とも思います。

このときに2年続けてやったのが、お化け屋敷です。

学園祭のお化け屋敷なんて、チャチい内装の上に中途半端にお化けに扮したお化け役が驚かしたりたりするくらいのガッカリ催し物というのが定番だったのですが、自分たちがつくったのはまさに 見せてあげよう、本当の恐怖をと言わんばかりに、徹底的に恐怖にこだわってつくったため、しょせん高校の学園祭のアトラクション気分だろ〜と軽いノリで入った人々を恐怖のドン底に叩きこみ。女子高校生だけでなく男子高校生をも号泣・失神の嵐に巻き込んだ伝説の催し物となりました。

なんか写真とかムービーとかあればよかったんですが、そういうのがまだあまりなく、残念ながら思い出はみんなの記憶の中だけに、となっておりましたが、自分のつくったときの経験や体験を鮮明に思い出してしまったので、せっかくなのでこれから学園祭でそういうお化け屋敷をやろうとする若人たちに向けて、最恐のお化け屋敷をつくるための方法を書き残して起きます。

ちょうど10年くらい前かぁ。当時手に入れたばかりのPCでググりまくったり。図書館でいろいろ資料を集めまくってたなぁ。


最恐のお化け屋敷をつくるために。

■まず何よりも大切なのは暗闇。徹底的にこだわって深黒の闇をつくる。

 文化祭のお化け屋敷が大抵の場合怖くないのは、明るいからです。文化祭自体が日中に行われる上に、教室自体が光を取り入れやすい構造をしているため、遮光カーテン程度ではどうしても明るくなってしまってガッカリお化け屋敷になってしまいます。なので、お化け屋敷をつくるときはまず徹底的に会場を闇にすることを意識します。僕がつくった時は、まず窓ガラスという窓ガラスに黒のゴミ袋を重ねた上に、さらに理科室にあるような遮光カーテンを窓をおおいました。しかしこれでもまだまだ漆黒には程遠いので、入場者が通過する通路をすべて黒のゴミ袋を貼ったダンボールでトンネル型にし、さらにその上からも黒のゴミ袋をかぶせて、これでもかというくらい暗くしました。狭さも空間的に暗闇を作る上で重要なファクターです。くねくねと入曲がったトンネル型の通路はそれだけで心理的な恐怖をかきたてます。そして、入り口と出口はどうしても光が入るポイントなので、入り口のドアの先にのれん式のカーテンドアを設けて二重構造にして日光の内部への侵入を限りなく少なくさせてました。このような漆黒をつくって、入場者にはチームで一つ100均で買った頼りない懐中電灯を持たせて進ませました。外で調子こいてる学生はまず、ドアを明けて最初に目にするこの漆黒で一気に口数が減るのが面白かったです。


■トンネル型でなるべく一本道にする

 ちなみにお化け屋敷のコースに関してですが、前の項目に書いたとおり、僕達は机をベースにしてダンボールで覆った人が少し屈んで進めるほどのトンネル型にして、ぐねぐねと曲がった1本道にして分岐点はつくりませんでした。途中にはかなり体をかがめないと通れない部分や、躓かない程度の段差の緩急や毛布をアクセントとしてつけました。いきなり硬い床から柔らかい毛布を踏むと結構びっくりします。狭い通路の方が心理的な恐怖を増すのと、また道が分岐するとどちらにいけば迷ったりして時間がかかったり、後から入った人とかちあったりして興ざめするからです。また、トンネル型とすることでトンネル外の部分をつかってスタッフの移動やアクションの実施がスムーズになります。基本的にスタッフはトンネル外からアクションを行うので、ぶつかったり触ったりといったトラブルの要素も排除することができます。


■お化け役に依存する恐怖の仕組みをつくらない。

 だいたい学園祭のお化け屋敷と言えば、お化け役に扮したお化けがいきなり驚かすというのが相場です。ただ、これは結構大変だったりします。まず、お化け役の違いによって驚かせ方に差が生じたり、お化け役が結構負担がかかったりしてしまったり、(結構たいへんなメイクや衣装をつけて暗い中一人で立って人が来るたびに驚かすだけっていうのは結構辛いものがあります。)します。後は暗闇ということでトラブルのもとになったりします。僕の高校では過去に先輩たちが暗闇に乗じて女子高校生の身体を触りまくったりしたり、驚かせようとして追いかけたらコケて怪我をしたりとかトラブルが噴出し、お化け屋敷という催し物自体が開催不可になっていた経緯がありました。(この再開へ向けた交渉にも骨が折れました)なので、僕達は極力人が驚かすことによって生じる恐怖の要素を排除しての設計を意識しました。


■並んでるときからのストーリーと没入感を意識する

 お化け屋敷はどうしても、客一人あたりに時間がかかるため列ができやすくなります。下手すると数十分単位で待つことになります。でも、その段階からも立派なアトラクションの一部として運用する仕掛けをすると効果的です。僕達の場合は、注意書きと一緒にお化け屋敷に紐付けた心霊話を書いた紙を渡して読んでもらっていました。その時の心霊話ですが、テケテケの話をモチーフとして、肢体を切断されたはずの女性が追いかけてくるような話でした。普通にこれだけ読んでも怖かったことを記憶しています。この話がお化け屋敷の中身とリンクしているわけです。また、会場と待ちスペースの窓をほんの少しだけあけておいて、声が外にひびきやすくしました。お化け屋敷の期待値を高めるのはそれらしい外装でも、なんでもなくて、「人の叫び声」です。あの女性特有のキャーという甲高いその叫び声が、待っている間中何回も何回も響き渡ることで、事前の期待も最高潮に達します。


■ペットボトルロケットの仕組みを応用した空気噴出機をつくる。

 遊園地とかの少し本格的なお化け屋敷とか、テレビのそういう芸能人ドッキリ恐怖企画とかで、プシューという高圧の空気が出てくるシーンをみたことはありませんか? あの正式名称がわからないのですが、あの高密度の空気を一気に噴出させる仕組みは意識外からやられるとものすごく人を驚かせることができます。本格的なのは電動の仕組みでやるのですが、僕達の場合はいかんせん予算がないので、自転車の空気入れとペットボトルロケットの仕組みを使って、空気噴出機を複数つくりました。ペットボトルにたまった空気圧をホースのレバーを引くと一気に噴出される仕組みです。これで、トンネルに複数明けられた穴からスタッフが入場者に向けて吹き付ける形です。仕組みこそアナログですが、音や効果はまさにテレビ番組でみるアレそのもの。入場者もまさかこんな仕組みが高校の文化祭にあるとは思いませんから、いきなりこれをやられるとガチでびっくりします。前からだと噴出口が見えちゃうので背後から頭あたりに向けて排出するのがとても効果的です。スタッフの一人はこれを女の子に吹きかけるときに響き渡る悲鳴が、最後には楽しくて楽しくてしょうがないといってました笑 彼が変な性癖になってないことを祈るばかりです笑


■こんにゃくは臭くて使いづらい。

 よく、こんにゃくをぶらさげてあって顔にあたってびっくり!みたいなのが、ありますが、あれも僕達もやってみたのですがうまくいきませんでした。理由としてはまず、そもそもこんにゃくって結構匂いがきつくて部屋にあると臭くてダメだったというのと、こんにゃくを紐に結ぶのが難しい、またこんにゃくを通路にぶら下げておくとどこかで誰かがひっかかって引きちぎって、こんにゃくが落下してしまうという現象が発生したからです。試しに設置しましたが結局は外して運用しました。


■音響は各地点でわずかに聞こえる程度のものを複数箇所にラジカセで設置

 意外と見落としがちなのですが、音響はとても大事です。しかし音が大きすぎたり、小さすぎたりしても興ざめになってしまうので、難しいところです。
お化け屋敷のテーマにもよりますが、僕達は通路の複数箇所にそこ周辺でしか聞こえない程度の音量で、ネットで落とした得たいのしれない不気味な音楽を流してました。
今調べたらカール・マイヤー暗い日曜日とかそういった曲でしたね。今聞いててもこれ聞いてるだけで恐怖すぎる笑


■マネキン+血しぶきのアクセントがシンプルだけど怖い

 ベタですが、マネキンは優秀です。クラスに家が美容院をやっている生徒がいたので、彼に頼んで頭だけのマネキンを大量にもらいました。美容院では練習用にあのマネキンを使っているので結構簡単にもらえたりします。後は僕達はテーマがテケテケだったので肢体を切断されたマネキンとして、たまに衣類店にある胴体だけのマネキンを手に入れてつかってました。肢体の切断面部分には新聞紙とかを詰めたりして厚みを出したりして、人間らしさを出すのに工夫しました。このままでも充分怖いのですが、赤いペンキを手に入れて首部分のところに血しぶきっぽく着色すると、もう完全に人体そのまんまになります笑 ちなみに当時それをつくっていて、ペンキを乾かすために、塀の上とかにおいて下校したところ深夜に見回っていた警備員を恐怖のドン底に叩き込み、第二の酒鬼薔薇事件再来と、あやうく警察沙汰の緊急事態になりました笑 

f:id:tokunoriben:20140522011135j:plain


■意識の外からの動きを意識して予想の裏切りを重要視する

 恐怖を演出するために大切な要素は無意識外からのアクションと予想の裏切りです。
あ、これ動きそうだな〜と思ったものを動かしちゃうと、あんまり怖くなかったりします。だから、わざとそれを逆手にとったりします。僕達があった例としては、まず剣道部から剣道セットを一式借りてきて、新聞紙を詰めたり通路の曲がり角とかにもいかにも人が入ってそうな形で座らせておきます。それで入場者がなんだあれ!?あれ絶対動くやろ!!動くって!!とか言ってライトを照らしたりすると、これみよがしにわざとらしく結んだ釣り糸をひっぱってクイクイ手の部分を動かしたりします。あぁ、そういうことね・・・w と入場者が安堵の声を漏らした束の間、彼らの背後にはいつのまにかこっそり別のところから通路に入った剣道着を着た本当のスタッフが背後にひっそりと立っていたりするわけです。このときワッとか声をだすのもそれはそれで面白いんですが、僕達はただ黙って立って気づくギリギリまで静かに付いて行きました。ふと、人の気配がして振り向くといつのまにか不気味な剣道姿の男が、ぎりぎ自分の背後ギリギリのところから覗いてたりするわけです。恐怖以外の何者でもないですよね笑
また前述のマネキンも実際のお化け屋敷も動きを意識して配置します。例えば通路に生首を並べておくスペース(これだけでも充分怖い)で、入場者の通過に合わせて、スタッフが結んだ釣り糸をひっぱっていきなり生首を転がしたり、通路の上下にワイヤーを張って目の前を生首が滑空したりです。また胴体部分に関しては、一度あえて何もせずに、入場者がビビリながらも通り過ぎたあとゆっくり引っ張って後ろから、這うように血まみれの肢体が迫ってくるという動きをさせました。入り口でテケテケの話を読んでるから、もうその場で恐怖のドン底に叩きこまれます笑


■人の顔が複数並んでると結構怖い。それも笑顔ほど。

 同じ顔が一面に並んでいると人は無条件で恐怖を感じたりします。それもなぜか全員同じ笑顔の表情だったりすると得体のしれない不気味さがあります。
いろいろ検討した結果、僕達は瀬戸内寂聴の顔が一番しっくりくるということで通路の一部の部分をすきまなく何百枚もの瀬戸内寂聴さんの顔のアップ写真コピーで埋め尽くしました笑 なんということでしょう一面に瀬戸内寂聴さんのあの笑顔が! これは結構不気味さだけでなく、ほっこりさも兼ね備えていたようで、「えっ!? なにこれキモい!!?・・ってなんでここで瀬戸内寂聴なんだよwww」という反応が面白かったです笑」

せっかくなのでイメージ図をつくってみました。これは怖いですね。

f:id:tokunoriben:20140522005750j:plain


■別店舗で出展していたジュースの半額券を配布していました。

 終わった後の最後のフォローも結構大事だったりします。散々叫んだり、人によっては泣いたりしてるので、こういうときにすっと次のビジネスチャンスに繋げる提案ができるのが大事です。僕達の場合は、実はもう一店舗ホットドッグ屋の飲食店も出展していて、そこで販売しているジュースやホットドッグの半額券をゴール記念として渡してました。半額券なら行こうかな、と乾いた喉を潤すためにまたお金を落としてくれるわけです笑 こんな感じで2つの店舗を回して超高校生級の収益をあげることに成功しました。あのお金は何につかったんだっけなー ・・・



まぁ、こんな感じで懐かしかったので思いのたけのまま書き出してみました。他にもあったんですが、思い出せないところもおおなぁ。10年の月日は大きいなぁ。これからお化け屋敷をつくろう!と思ってネットで調べている昔のような自分みたいな学生が作るときの資料になってくれればいいなぁと思います。

ではでは


【追記】

このお化け屋敷の記事を書いたあとペットボトルを使った空気噴出器の仕組みや作り方についての問い合わせが多かったので追記をしておきます。

具体的な作り方とかを教えてあげられたら良いんですが、いかんせん記憶が10年以上前なのと、そのとき参考にしていたサイトもなくなってしまったので正しい作り方を教えれないんです。

すいません。

なので、細かい部分は実際に自分で試行錯誤してもらって、つくってもらう感じになってしまいます。

参考になるかわかりませんが、イメージ的にはこんな感じだったと思いますのでよかったら参考にしてください。

f:id:tokunoriben:20140811092854j:plain

ペットボトルロケットの空気入れる部分とかはペットボトルロケットのサイトとかから購入した記憶があります。
東急ハンズとかでも手に入るんじゃないでしょうか。

http://pcaj-i.jp/skytales_co_ltd/list.cgi?ctg_id=p1



お化け屋敷のつくり方
平野 ユーレイ 齊藤 ゾンビ
アールズ出版
売り上げランキング: 300,880