発見4 ビジネスの本質は共通項を見抜く、すなわちパクって別のフィールドに持っていくことである。
ビジネスの基本はTTP(徹底的にパクる)だと思います。もちろん、特許や著作権など法的に定められた権限を侵害するのはいけませんが。
あるものをパクって、別の何かと組み合わせて新しいものをつくりだすという発想は非常に大事です。それは日本の名だたるIT企業のほとんどがアメリカのタイムマシン経営で財を成している、という点を見てもわかるかと思います。
いわゆる要領の良い人というのは、すでにある物を自分の所へもってきてちょっとぐらいルールから外れても適当に書き換えてまるで自分が発明したかのように成果を出します。
逆に要領の悪い人は、自分の考えにこだわりゼロから自分で考えて、教科書やルールからは絶対はみ出さず努力に努力を重ねて、結果すでに誰かが作ったような物の劣化版を持ってきます。パクることは悪だ、コツコツ努力を積み重ねた方が評価されるべきという日本人的な思想から抜けきれないのです。
要領の良い人はコピー元が非常に豊富なので(例えば、同じ業界からはもってこないで、趣味や遊びから持ってくる、海外の事例を参考にするなど)特に法に触れるとか、悪いことをするわけでもなくぱっと見にはばれにくい、すばらしいパクリができます。
そしてこのパクリが組み合わさって、一定の水準まで高まった時、人はそれをイノベーションと呼びます。
例えば、日本を代表するキャラクターのスーパーマリオを世に生み出した任天堂の宮本茂はスーパーマリオを「これまでのいろんなゲームのいいとこどり」と言いましたが、それはつまりコピーの組み合わせでオリジナルを作ったわけで、0から1を生み出した訳ではありません。
漫画文化の草分けである手塚治虫も映画やアニメや文学、写真、イラストのコピーをマンガに落とし込んだのであり、
映画史上にひとつの金字塔を打ち立てたスピルバーグやジョージルーカスでさえも日本の黒澤明をうまく組み合わせて作品をつくり、また黒澤明もドフトエフスキーやシェイクスピアを組み合わて作品をつくっています。
そして今や世界に其の名を轟かせる、Googleや、スティーブジョブスも、ビルゲイツでもみんなパクり組み合わせの天才だったのです。
(Googleは他者のサービスを買収して組み合わせ、WindowsはMacのコピー、Macはパロアルト研究所の発明をコピー)
また人類史をひもといてみても、その傾向は明らかです。
かのニュートンや、エジソンは他の学者のコピーを先に特許にしたような人達で、アインシュタインに至ってはその特許庁につとめていたような人です。
結局のところ人類の歴史は常にパクりによって生み出されてきたといっても過言ではないでしょう。
もちろんパクリをすればパクられた側はいい気はしません。
日本人は「わかる人はきっとわかってくれる」「本物はきっと評価される」なんていう、甘えた気質をどこか持っています。
だからパクられてもそれに反論するのをあまり是としない文化があります。
だからこそその参入障壁が世界でも最もパクりビジネスが成功しやすい土壌をつくっているのだと思います。
パクったところで大多数の人間はいちいちその真偽の出自を確認してから判断するほど暇ではありません。自分が知っていて目の前にあるものがプラスであればそれがパクリだろうがなんだろうがどうでもいいのです。
それがビジネスに於ける真理なのだと思います。
そして僕はここに、ビジネスにおいて成功する人とそうでない人の分岐点があるような気がしてなりません。
自分が所属しているコミュニティの常識や自らの価値観を絶対だと思ってしまい、全く異質な存在と出会ったときに
「こいつらはこんなことも知らないのか?だめだなぁ。自分とは違う世界の人種だから関わらない方が身のためだな。」と、距離を置いてしまう人、そしてそのことに優越感を感じてしまう人。
「世の中にはこういうことに必要性や重要性を感じている人もいるんだ。この人たちに満足してもらうためには自分は何を提供してあげればいいんだろうか。」とニーズを掘り下げて、アプローチができていく人。
もちろんビジネスという面で成功をおさめることができるのは後者の人間です。
経営学やマーケティングを学んだり高い技術を習得しところで、必ずしも誰もがビジネスで成功できるわけではないのはこのマインドによるところなのではないでしょうか。