家族を作るのが怖い。
久しぶりに会った同期が結婚して子供ができるらしい。
遅かれ早かれそうなる結果ではあるのだけれども、
なんだか自分だけ取り残されて、遠い世界に友達が行ってしまったような気分がして複雑だ。
結婚とか子供とか自分とは無縁の遠い話のように思っていたのだけど、20代も後半になると結構身近なテーマなんだなとしみじみと思う。
大学時代、インターン先で結婚情報サービスの企画やマーケティングについてよく資料をまとめさせられていた。
そこでデータをいじくりまわして出てきた、今でも記憶に残っているデータが、
「大卒以上で結婚したカップルのうち、過半数のカップルの結婚相手が「大学時代の知人・友人」 であるというデータである。
そう、結婚相手の大半は学生時代の出会いに起因にしている。
いま、25歳の人の9割は、ある事実を知らない。
その事実とは、26歳から30歳までの間に恐ろしく出会いが無いという事実。
26歳から30歳までの間に“2回以上会う”ことになる「結婚適齢期の独身の異性」は普通100人もいないのだ。
人によっては20人以下かもしれない。
しかし、そのことに気付くのは30歳を過ぎたある晩、テレビを見ながら一人コンビニで買って来た発泡酒をすすっている時だったりする。
なんせ人は25歳くらいまでの間、圧倒的に出会いに恵まれている。
進学・就職という出会いの大イベントが3〜4年置きにずっと続いてきたはずだ。
繰り返し訪れる出会いと別れ。そしてまた新しい出会い。
その感覚に慣れて、それが当たり前にずっと続くと思ってしまっても仕方のないことだ。
ところが、26歳以降、ぱったりとその出会いはなくなる。
マスコミ関係やら、広告関係やらの一部の出会いに恵まれた職業を除くと、
「結婚適齢期で独身の異性」との出会いは、月に1人もないかもしれない。
その人と2度会う確率は、果たして何パーセントくらいだろう。
忙し仕事の合間をぬって、お互いに時間を調整して、短い週末でお互いに楽しいと思える時間を過ごして互いに良いところも悪いところも分かり合うことのできる確率はどれくらいだろう。
日常は、いつもの職場で、いつもの仕事で過ぎていく。
それが未婚独身男女が25歳をすぎるということである。
でも別に僕自身は、結婚とか子供に対して、何ら焦燥感を抱いているわけではない。
僕がおかしいだけなんだろうけれど、そもそも家族や子供というのが好きじゃない。
親や子といった家族への愛は際限がない。たまたま生まれて一緒だった家族というそれだけの理由にしか過ぎないのに、
無限に自分の人生を吸収されていく。自分の可能性が奪われていく。
僕はそれにとても恐怖を感じる。
多分僕がどっか壊れてるだけなんだろうけれど、
僕はあまり両親が好きじゃなかった。尊敬できなかった。
子供のときからなんとなくかんじていたことが、大人になるにつれ少しずつわかってきた。
今は家族とあんまり連絡を取りたくないし、互いに何をしてるか知りたくない、しられたくない。
自分の人生さえどうなるかわからないのに、限りなく自分に近い存在の人生まで背負いたくない。
多分かなり人間性がない人間なんだと思う。自分は。
多分そういう呪いはやがて僕にまっすぐ向かってくるだろう。
かつて自分が親を見ていた目線で、今度は自分の子供が自分を見ているかもしれないという呪いから、僕は、逃げられない。
家族を作るのが怖い。自分の子供が自分を見るのが怖い。
今の自分に耐えられる自信がないよ。。。
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